
秀吉の音楽を一言で表すとするならば、誠実という二文字でしょうか
『あいてえです』について
アルバム最後の曲「そんな唄」の歌い出しに、柿澤くんの、そして秀吉というバンドの20年間が垣間見れたような気がします。
「思い返せばそれはそれは 思ってたよりかたくさん 作ってきた唄がありまして 時間をかけて金もかけて 丹精込めて愛情込めて 作ってきた唄たちでありまして‥‥」
何があっても、また何も起こらなくても、すべてを歌にしようと努め、絞り出し、そしてそれを包み込むサウンドもとことんまで突き詰めて、ずっと全力で走り続けて来たら20年が過ぎていた。そんな感じなのでしょうか。でも、こうして文章にしてしまった途端に、なんだか下世話で安っぽい自分が暴露されてしまうような、言葉にして語れば語るほどインチキで嘘っぽい自分を鏡の中に見つけてしまうような、おかしな気分になるんです。その才能に嫉妬しているからなのか、その努力が僕の想像の範囲を遥かに超えているからなのか。たぶんその両方ともが正解なのでしょう。
いずれにしても、聞けば聞くほどその物語の世界に引き込まれてしまうし、即座にそのサウンドの中に没入してしまいます。もしかしたら、才能や努力とかいう以前に、彼らの音楽に対する真摯な向き合い方とか、彼ら自身の純真さというようなものが直接、僕の魂とか心とか気持ちとかに届いてしまうからなのかも。純真で無垢な魂が天国や地獄を垣間見るたびに傷ついたり、また研ぎ澄まされて磨かれていくような。
秀吉の音楽を一言で表すとするならば、誠実という二文字でしょうか。どんな問題を抱えていたとしても、それに対して自分に誠実に向き合い、また傷ついて、また立ち向かっていく。それが、聞く人の心の中の同じ部分に響くから切なくて。だから僕は秀吉が好きなのかも知れません。
ニューアルバム『あいてえです』完成、そしてリリースおめでとう。